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ツールエンジニア2016年9月号

老後は貯金と貯筋

若返る方法はあるのか?人間の永遠の欲求である。肉体的にも精神的にも、若返る方法はあるといえる。最近下流老人や認知症による問題が話題になっている。日本には推定で600~700万人の老人が、相対的貧困にあえいでいる現実がある。認知症は、200万人以上、10年後には65歳以上の5人に1人が、認知症に罹患するといわれている。一流企業に勤めていた人でも、ちょっとしたきっかけで下流老人に転落している事実があり、本やマスコミで話題になっている。本人や家族の病気・けが、親の介護、リストラ、離婚などなど理由は様々ある。そうならないためには、若い時から準備をしておく必要があることは、誰でも認めるところだろう。お金を蓄えておくということは、誰でもわかることだが、1000万円貯蓄するには、3万円×12月×30年が必要になる。万人が数千万円を貯蓄することは、現在の日本の経済状況では、なかなか現実的には厳しい数字のように思う。

病気が老後を不幸にする大きな原因の一つに挙げられる。老後の病気で苦労しないためにも、生活習慣を改善して健康維持を目指すべきではないだろうか。生活習慣改善に最も有効なことは筋トレではないかと思う。筋力は自分がつけようと思えば、数か月で結果が出てくる。筋力をつけるということは、老後を快適に暮らす大きな武器になるはずである。
筋肉からは、20種類以上のホルモンが分泌されている。最近の研究で筋肉は、がんの発症率低下や、アルツハイマー病、脳卒中、うつ病などにも効果があることが分かってきた。
筋肉から放出されたホルモンは、肝臓に行けば肝脂肪を減らし、脳に行けば認知機能を改善し、骨に行けば骨を強くする働きがある。老後の備えとして筋トレは、抜群の効果があることが分かり、各地の行政でも介護予防に、筋トレを取り入れているところが増えてきた。

普通に暮らしているだけでは、筋量は20歳くらいから徐々に落ちていき、そして、50歳を超えると急激にダウンして、80歳になると50歳時に比べ30%も筋量が減少するというデータもある。相当意識して筋肉をつけていかないと、老後に普通の生活ができなくなってしまう危険があるのだ。幸い筋肉は何歳になっても、トレーニングしただけ強化される。登山家の三浦雄一郎氏は、60歳くらいの時、生活習慣病で500mの山も登れないほど体力が落ちていたことは有名な話である。還暦を超えてから、トレーニングに励み世界最高峰のエベレスト登頂を世界最高齢で成功させたのだから、『筋肉はトレーニング次第』を実証している。無理をせず、適正なトレーニングは高齢者の味方になるはずである。

筋肉を動かすことは、同時に脳も活性化させることが分かっている。脳内の電気信号やホルモンが認知症改善をもたらす。また、筋肉を強くするだけでなく、筋肉の収縮の際、骨を刺激し骨密度を強化する。宇宙飛行士は、長期間宇宙空間に滞在すると、筋肉が落ちるだけでなく骨もスカスカになり、危険防止のためか、帰還時に車いすなどで運ばれる姿をTVなどで見ることがある。筋トレは美容にも最適。筋肉がつくと基礎代謝が向上して、太りにくくなりダイエットにも効果的だ。トレーニングすると筋肉痛になる。この筋肉痛が体に物凄く良いのだ。筋肉痛を改善するために、成長ホルモン<若返りホルモンともいわれる>が多量分泌され、全身を駆け巡り筋肉痛をとるだけではなく、肌の修復や全身の傷んだところを、改善、修復する効果がある。私も、トレーニングして筋肉痛になると悪いところが改善されるのでうれしくなる。美しくなりたい方には、筋トレは最適の美容方法といえる。

先日、NHK特集で、筋肉からはホルモンAMPキナーゼが分泌されることが、発見されたと報道していた。このホルモンは、インスリンと同じ働きをする。膵臓のインスリン分泌が悪くなった人には、筋トレで筋肉を増加させることで血糖値の改善が認められている。糖尿病の人には朗報で研究が進むことが期待される。また、筋トレは、肉体的な効果だけではなく精神的にも素晴らしい効果をもたらす。うつ病予防やストレス解消に有効なのだ。うつ状態になると体内のホルモン分泌量が低下する。筋トレを行うことでホルモンの分泌が飛躍的に増加する。うつ状態のとき、減少するといわれている神経伝達物質のセロトニンも、筋トレにより増加する。<セロトニンは精神の安定や心の安らぎに関与する> 

体に負荷をかけるということで、体がストレス状態に置かれる。筋トレを継続していくことで、自然とストレス耐性を高めることになっていく。体がしっかりしてくると自然と自信がわいてきて、積極的になる。引きこもりの子供に筋トレ指導することで、性格が明るくなり引きこもりから抜け出した事例もある。

2014年9月号・大田区町工場群で紹介した第一研磨工業・斉藤社長の勧めで、筋トレを始めた。斉藤社長の会社にトレーニング設備があり、徒歩1~2分のところにあるので始めることができたのは、全く幸運である。進めてくれた斉藤社長には本当に感謝している。体調が少しづつよくなりはじめ、運命も好転するのではないかと思っている。最初は、20Kgのバーベルでスクワットとベンチプレス10回を各3セット、腹筋10回を3セット、の9セット週1回が基本。しかし、中学を卒業してから、まったく運動をしてこなかったものには、それでもきつくて回数やセット数を減らしたり、間隔をあけたりして、無理をせず体調に合わせて継続している。

筋トレは、週1~2回のトレーニングが最適といわれている。スポーツの中で最も効率的なスポーツといわれる所以である。9年目になり効果が出始め、十代から50歳前半まで40Kg前後だった体重が、7Kgも増えた。私の半病人的の体力も、回復基調にあることを実感している。冒頭に述べた若返りの方法は、継続的な筋トレである。筋トレは、上記述べたように様々な素晴らしい効果があり、老後の生活の手助けしてくれる。筋トレの継続で健康な老後を目指そうと思っている。