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運の法則 こころ編

ツールエンジニアリング2015年4月号

父が一人で営んでいた工場に入って28年、様々な経験をしてきた。その経験や町工場の先輩、経営の先輩たちの言動、先達の偉人の人生を勉強してみると、間違いなく幸運を引き寄せる法則のようなものがあると実感するようになった。

『私が今日の大成したのは、それはあらかた運ですね。私は11日を努力して生きてきただけの事、強いて言えば積み重ねがすべてです。人間万事、世の中すべては天の摂理で決まるものが90%、人間が成しうるのは10%ではないでしょうか。私は少なくとも、そう思うことにしています。』パナソニック創業者・松下幸之助氏が、成功の秘訣を聞かれて答えるときに、このように話すことが多かった。9歳で丁稚奉公、まともな教育を受けていない。親・兄弟とも若くして死別、体も弱く、お金もない。内々づくしで、大成功と云える人生を歩んだ松下幸之助氏は、運の引き寄せ方を体得していた達人と云える。経営で最も大切なことの一つが<運>と考えていたようだ。経営の発展には、目に見える要因と目に見えない要因がある。目に見える要因とは、人・製品・技術・生産方法・数字・工場・組織体制等である。目に見えない要因とは、経営者の考え方・哲学・雰囲気・信頼信用・やる気・人気などというもので、数字や言語に表しにくいものである。容易に第三者が再現できないといわれている。この両輪がそろってこそ経営が安定し社員や周りの人も良くなると考えられる。

松下幸之助氏は、この二つの要因のバランスは、目に見える要因4以下、目に見えない要因6以上が、望ましいと思い経営していたそうだ。この目に見えない要因に、運を引き寄せたり、逃してしまったりする法則が含まれていると考えられる。人は誰でも目には見えないが、波動のようなものを出している。この人に会うと感じがよいなとか、居心地がいいなと思える人がいる。一方、何度あっても気分が悪くなる人もいる。感じの良い人は、感謝の念が強く、思いやりがあり、寛容、受け入れ型のようだ。居心地の悪い人の特徴は、不平不満が多く、責任転嫁、悪口、妬み、攻め咎めなど攻撃型といえる。誰でもが両方の感情を持っているもので、73の割合でプラス思考にできれば幸運の女神様に好かれるはずである。

では、どのような考え方がよいのか2例取り上げてみたい。松下幸之助氏が18歳のころ、アルバイトで大阪湾にある会社で働いていた。船で通っていて船縁に腰を掛けていた。移動してきた人が、松下氏のところでバランスを崩し松下氏をつかんで、一緒に海に落ちてしまう。普通の人だったら、なんて運が悪いのだとか、その人が自分をつかまなければ、巻き添えを食わずに済んだとか思うに違いない。ところが、松下氏は、夏だからよかった、すぐに気が付いてくれて救助されたからよかった、命があった助かった幸運であると思ったそうだ。

もう1例は、私が生涯の師と仰いでいる故小田信彦先生の話をしたい。一般には有名ではないが、健康の真理などの著者で思想家といえる人物である。小田先生が昭和30年にブラジルに渡ることになる。その船中のデッキで喫煙していたところ、知人が私にも吸わせてほしいといってきた。お貸ししたところ、その人が手を滑らして海の中に落としてしまう。喫煙していた煙管は、小田先生の恩師からの頂き物で、形見と云える非常に大切にしていたものだった。普通だったら烈火のごとく怒るか、大切なものを失って不吉に思うかではないだろうか。しかし、小田先生は、相手を責めることなく、これでブラジルでの事業が成功すると思ったという。海に落ちた煙管が、自分の身代わりとなり悪運を持って行ってくれたと、考えるとよいと教えられた。はじめて聞く考え方に、目からうろこが落ちるとは、このことを言うのではないかと深く感動したことを覚えている。小田先生からは、自分に起きてくることは、すべてその人が良くなるために起こる、<浄化作用>であると教えていただいた。

小田先生や松下氏のように、物事のプラス面に着目するようにすれば、感謝が自然に湧き起ってくるのではないだろうか。

お話を伺ってからは、何事にも寛容になるよう努力し、嫌な事、マイナスと思えることが起きた時は、厄落としになる、これでよくなると考えるよう意識するようになった。まだ身についたわけではなく、意識していないとすぐに心配執着が出てきてしまう。不平・不満・心配・怒りなどは感情であり、自然と湧き上がってくるものと云える。これらの感情をいかにコントロールしていくかが、幸運を引き寄せるカギになると思う。マイナス感情を抑える最も良い方法は、幸運の人のそばに行くことである。本当の幸運者は寛容であり来る者拒まず、いろいろと教えてくれるものである。また、理性や教養を磨くことも大切と思われる。

マイナス波動の感情は、理性を高めることでかなり抑えられるはずである。

プラス思考の根本は感謝ではないかと思う。日本の神道や仏教では、こころの進化のバロメーターは、感謝の多少で測れるといわれる。逆に言えば、何事にもありがたみを感じない人、感謝できない人は心が進化していないともいえる。自分の置かれた立場や境遇を嘆いて、いつまでも不平不満を言っている人は、幸運の女神様から見放される可能性がある。幸運の女神様は、謙虚であり、前向きであり、思いやりのある心の持ち主を好むようだ。強運の人を見ていると、ありがたみや感謝を忘れずに、感謝を行動で示す人が多いと思う。私のような凡人は、強運の人と接してできるだけ、真似するように心がけるしかないと思っている。

しかし、心というのは掴みどころがなく、厄介なもので、できたと思って油断していると、知らないうちにできなくなっていることがある。女神様に好かれる方法がわかっているのに、できない事が度々で、その度に、小田先生の著書や松下幸之助氏の著書などを読んでは反省する。幸運な人生を送るために一生修行ではないかと思うこの頃である。 

ツールエンジニアリング2015年4月号